株式会社 アイウィル

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染谷和巳の『経営管理講座』

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

「経営管理講座 418」   染谷和巳

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外人と共生する社会か

移民で人手不足を解消してくれ、将来国や社会がどうなろうと知ったことかと言う社長。寛容な移民政策で治安が失われ、対応コストがふくらみいずれ文化や伝統など国柄も失うだろう。欧米の失敗を知らないのか、認めないのか。同じ轍(てつ)を踏むのが解っていて歓迎の旗を振るのは愚者とも呼べない。


もうゆとり教育に戻り始めた

大分県別府市は温泉の街であり、宿泊業や観光土産などの小売業が盛んでサービス業従事者が八十二%を占めている。

土日祝日は書き入れ時で多忙を極める。

学校が休みの日、子供は親に遊んでもらえない。旅行に連れて行ってもらえない。

家族で遊びに行くには親が休みの日に学校を休むしかない。

ならば平日、前もって休むことを申請すれば休みをとってよいことにすればいい。

別府市の公立小中学校では保護者が「子供を休ませたい」と申請すれば年三日までは欠席扱いしない制度を発足させた。九月十五日現在六十一人が申請し、既に三十人が平日休みを利用した。

別府市長は「子供の多様性を育むためにもこの制度を是非利用してください」と言っている。

子供が学校を休むのは〝病欠〟と〝ずる休み〟の二つだったが新しく三つ目のラーケーション(ラーニング・バケーションの折衷語)制度を使った公認の休みができた。

愛知県でも導入。大村知事は家族旅行を「校外学習活動の日」と定義している。ただ大村知事と犬猿の仲の河村名古屋市長は「名古屋市はやらない」と言っている。

これからこの制度を導入する地方自治体はふえていくであろう。

この制度に七割が賛成というアンケート結果が出ている。この制度を推奨する奇妙なアンケートである。これには幼稚園も含んでいる。小さい子を家に残して旅行に行く親はいない。幼稚園を休ませて家族旅行に連れて行くのは日常化している。これを除いて小中学校だけにすれば賛成は五割を切るはずである。三割か。

小中学校の休日は春休み、夏休み、冬休みが六十日、祝日が十六日、土曜授業を再開している学校がふえているが月二回で後は休み、土日休み六十日。年間合計百三十六日。一年のうち三十七%が休みである。

別府市など親が仕事で土日休みがとれなくても家族旅行をする気があるなら夏休みなどにできる。少ない授業時間をさらに三日間も削る必要はない。

これは反省してやめたゆとり教育への回帰以外の何ものでもない。子供に媚び、子供を甘やかしてきた教育政策の一項に含まれる。

昭和四十七年(一九七二)、日教組が「受験競争と落ちこぼれ対策として、詰め込み教育を改め、個人の学習速度を尊重する授業にする」提案をした。

この方針を元にゆとり教育の検討が進み、昭和五十五年(一九八〇)から徐徐に国語などの授業時間を減らし始め、平成十四年(二〇〇二)から土曜日の完全休日が実施され、授業時間の削減と教科内容の軽量化が進められた。

これを主導するミスター文部省といわれた寺脇研は「これによって一、考える力を伸ばす。二、生きる力をつける。三、豊かな人間性を育むことができる」と目的を説明した。

小中学校の学力低下が著しく、ゆとり教育反対の世論が強くなり、平成二十三年(二〇一一)、三十年ぶりに授業時間をふやす方向に転換した。

学力が低下したとしても、もし三つの目的が明らかに達成されていればよかったが、児童生徒の負担を軽くすることによって三つの目的は全く達成されなかった。

もっとはっきり言えば〝ゆとり〟と三つの目的はつながりがなく、寺脇の言は屁理屈だった。

授業時間をふやし、教科書を厚くして十余年、ここに家族旅行のため年三日学校を休んでよいという制度が誕生。別府市長は「子供の多様性のため」、大村知事はこれを「校外学習活動の日」と寺脇同様の屁理屈を言っている。

ゆとり教育はつい最近の失敗の経験である。まだ歴史になっていない。経験から学ばない愚者以下の賢者がのさばりはじめている。


歓迎移民の後に雪崩れ込む難民

ヨーロッパに外国人の流入が激しくなったのは一九九三年にEU発足により国境廃止、人の移動の自由が保証されてからである。

ポーランド、ハンガリーや旧ソ連圏の東欧諸国の人がイギリス、フランス、ドイツなどに職を求めてどっと押し寄せた。

こうした移民は先進諸国の労働不足の解消に貢献し歓迎された。しかし外国人の流入はそれでおさまらなかった。

コソボ紛争でアルバニア人が、シリア内紛でシリア人が、地震、水害、貧困で中東やアフリカの人々が大量に流れ込んだ。先進諸国はこの〝難民〟に手を焼いた。

難民の面倒を見るのにコストがかかる。

ドイツは難民一八〇万人のうち半数の九〇万人が無職や低賃金労働者のためハルツⅣ(日本の生活保護制度)を受給している。二〇二〇年の一年間だけで約二兆円の出費である。

またどの国も外国人の犯罪が激増し、警察の拡充や刑務所の維持にばく大なコストがかかっている。

イギリスは二〇二〇年のEU離脱後、中東やアフリカからのボートを使った難民の流入が急増している。

二〇二二年の不法入国者四万

六千人。うち四万人が強制送還されたが、飛行機代は国が負担、国内滞在中の施設やホテルの使用料も国が払う。イギリスはボート入国外人の難民申請を認めない法律、雇用者に罰金一、一〇〇万円、部屋を貸した家主に約九〇万円の罰金と、手を打っているが、年間のコストは年々増加している。

ヨーロッパ諸国は移民受け入れ政策の失敗を認めている。しかし「移民によってしか労力不足は解決できない」と、ドイツはドイツ語堪能で職業能力に優れた人は三年で国籍を取得できる法案を準備し、フランスはフランス語が話せて社会に溶け込んだ人には滞在許可証を与えて働いてもらう方向。イタリアも産業界の圧力に負けて、医療、建設、運送の分野に限定して三年間で四十五万人の難民救済を行う計画である。

必要な移民を受け入れることによってその十倍の難民が押し寄せて国を疲弊させた。わずか十年前のこの失敗にこりずに、また外国人歓迎策だ。

ゆとり教育の失敗に学ばずに三日間の遊び休暇を与える日本の地方自治体と同じである。

今年六月、日本は熟練外国人労働者の永住と家族帯同を認める「特定技能二号」の受け入れ対象を二分野から十一分野に拡大する法案を閣議決定した。

その後である。岸田総理が「外国人と共生する社会を考えていく」と語ったのは。

国が移民歓迎に舵を切った。

日本に住みたい、日本で働きたいなんて思う人はいない。日本はそんな魅力のある国ではないと言う人がいるが、五年後を見よ!

現在三百万人の外国人がたちまち一千万人にふくれあがる。

ヨーロッパと同じ失敗に終わらせない方法が一つある。それは会社が、外国人を一人前の日本人社員に育てあげることである。


外国人に日本的経営の教育を

日本は何度も国難を会社が救ってきた。

明治初期、殖産興業政策により会社が力をつけ列強に対抗できる兵器を作れるようになり、中国、ロシアとの戦争に勝った。

昭和二十年の敗戦後の奇跡の経済復興、その後の高度成長も、勤勉に働き、努力を惜しまない社員を擁する会社の力による。

これから来る外国人大量流入による日本の社会の崩壊という国難も会社の力で克服するであろう。

問題は単純である。

人手が欲しいが日本人は来てくれない。外国人を採用する。ところが手足(労働力)だけ欲しかったが人間だから頭がついてくる。

数ヵ月ならいいが何年もいる間に頭が問題になる。頭はつねに国に残した親兄弟を見ている。同朋が増えれば群れを作る。さらに増えれば一つの街を作る。

会社はこうなる前に、採用した外国人を会社に同化させる手を打たなければならない。

会社は単なる手足ではなく、日本人社員と同等に経営に参画する同士であって欲しいと思っていることを解らせる。

そのため一年間で自己責任で日本語の聞く話すができるようになること。つぎの一年で読み書きができるようになることを強制する。

朝礼で経営理念の唱和、「教育勅語」朗読、社歌や国歌斉唱に参加させる。言葉が解らなくても入社当日からみなと一緒にさせる。

日本の歴史を学んで日本の国に誇りを持つ〝日本人〟になるまで教育する。日本人の新入社員教育の五倍の時間と情熱をかける。甘やかさず家族の一員になるまで。

かつて日本は植民地台湾と朝鮮で民を日本人と同等に教育して成功した。


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